冷たい部長の甘い素顔
それを見て、私は笑顔で席に戻り、仕事を続けた。
しばらくして、視線を感じて顔を上げると、部長と目があった。
部長は、何か言いたげな気がしたが、何も言わなかった。
なんだろう?
「部長もコーヒー飲みます?」
「いや、いい。」
「遠慮しなくていいですよ、すぐですから。
今、入れて来ますね。」
と私は席を立った。
「あ、部長、砂糖とミルクは要ります?」
「………いや。」
「ブラックですね。
ちょっと待っててください。」
私はパタパタと給湯室へ向かった。
コーヒーを入れて戻り、部長の席に置いた。
「どうぞ。
って言ってもインスタントなんですけどね。
私、座りっぱなしは煮詰まっちゃうんで、時々
席を立ちたいんです。
お茶を飲みたくなったら、遠慮なく言って
くださいね。」
そう言って笑うと、部長も微かに笑った気がした。