冷たい部長の甘い素顔
私が店に着くと、部長以外は揃っていて、奥の席が二席空いていた。
真由は1番手前に座っていて、部長から1番離れた席をがんばって確保したのは明白だった。
「あれ?
部長まだ?」
私が店の外へ出て部長を探すと、背の高い男性の影が見えた。
私は駆け寄って、
「部長、みんな待ってますよ。」
と、部長の腕を引っ張って歩いた。
部長を1番奥の席に座らせ、私はその隣に座る。
「服部さん、挨拶お願いします!」
と私が声をかけると、服部さんが立ち上がる。
「では、秦野部長の歓迎会を始めます。
秦野部長から、一言お願いします。」
服部さんと入れ替わって、部長が立ち上がる。
「今日は、わざわざ私のために歓迎会を開いて
くれてありがとう。
堅い話はなしにして、楽しんでください。」
それだけ言って、部長は座ってしまう。
服部さんが立ち上がって、
「では、皆さん、グラスの用意はいいですか?
秦野部長、企画部へようこそ。
乾杯!」
とグラスを上げると、
「乾杯!」
「乾杯!」
とそれぞれグラスを合わせて、飲み始める。
挨拶、みじかっ!
ま、いいけど…