冷たい部長の甘い素顔
私は、秦野部長とグラスを合わせて、ビールを流し込む。
「部長、今日はたくさん飲んで、食べて
くださいね。」
「ああ。」
部長は、いつものように冷たい目でみんなを見ている。
この前のようなにこやかな雰囲気は微塵もない。
「そういえば、部長、他の部署の平社員の
顔と名前も覚えてるんですか?」
「いや。」
「え?
だって、この前、9月の初めに私に気づいた
って、言ってたじゃないですか。
私、どうせ他の部署の平社員の事なんて、
覚えてないから大丈夫だ、気づかれてない
って思ってたんですよ〜。
なんで、分かったんですか?」
部長の目が、私をじっと見る。
「ふっ」
ん?
笑った!?