冷たい部長の甘い素顔
嬉しい!!
「部長も…カッコいいです…」
私が恥ずかしくて、下を向きながら言うと、部長は、
くすっ
と笑って、助手席のドアを開けてくれた。
「どうぞ。」
私が乗ると、部長がドアを閉めてくれる。
運転席に部長が乗り、静かに車を発車させる。
「部長、今日は眼鏡じゃないんですね。」
私が聞くと、
「ああ、あれ、伊達なんだ。」
とさらっと返す。
「へ?
じゃあ、なんでいつも掛けてるんですか?」
「その方が厳しそうに見えるだろ?
俺は、役職の割に若いから、年上の部下も
いるんだ。
若造だと舐められない為に、眼鏡を掛けて
厳しい上司のフリをしてるんだよ。」
「へぇ〜
私、なんで会社では笑わないんだろうって
思ってました。
部長、優しいのに、みんな誤解してるのが、
歯痒い気がしてたんですけど、ワザと
だったんですね。」
「俺は、爽だけが分かってくれてれば、
それでいいから。」
!!!
なんで、そこでさらっと赤面するような恥ずかしいセリフを放り込むの!?
「そういえば、どこに行くんですか?」
私は、話題を変えた。
「いつもとは違う夜景を見に。」
「夜景?
こんな昼間から?」
「そ、偽りの夜かな?」
さっぱり、分からない。
私が部長を不思議そうに見ていると、
「ま、着いてからのお楽しみだな。」
と言って、右手で私の手を握った。