LOVE DAYS
3
「萌、おっはよー」
上履きに履き替えようとした瞬間、ドンっと背中を叩かれた拍子に身体がビクンと飛び上がる。
「お、おはよう。麻友ちゃん…」
「あれー?元気ないねー…佐々木と会ったんじゃないの?」
「……」
何故かその名前は聞きたくなかった。
不意に触れてしまった唇の所為で思い出す。
嬉しさなんて何も残ってない。
「ん?どうした?元気ないじゃん」
「そ、そんな事ないよ」
「ふーん…。あ、サボリ魔、晴馬登場」
「…っ、」
は、晴馬君とは会いたくない。
正直言うと物凄く気まずくなっているから。
「ほんと晴馬は自由人の獣だわ。萌、あたし職員室に行くから先に行くよ」
「う、うん…」
ヒラヒラと手を振った麻友ちゃんの背中を眺める。
フーっと一息吐いて靴箱をパチンと閉めて振り返ると、後ろに晴馬君が居た。
どうしよう…なんて思っていると、
「萌ちん、おはよ」
晴馬君はいつもと同じ笑みを向けてくれる。
だけどいつもと違う雰囲気にジッと見つめてしまった。
「…うん、おはよう」
「てか何?俺の顔ジッと見て」
「あ、晴馬君、メガネ掛けるんだ」
「あー…目の不調でコンタクト出来ねぇんだよ」
「そうなんだ。知らなかった」
「だって萌、俺の事なんも知んねーじゃん。友達なのに」
「そ、だね」
「つかなんかあった?いつものお前じゃねーよな」
「ううん。そんな事ない。じゃ行くね」
晴馬君と居ると何故か笑えない。
むしろ今までどうやって晴馬君と接してたのかも分かんない。
ねぇ晴馬君。
晴馬君はどうして佐々木君の事をやめたほうがいいって言った?
もっと詳しく聞きたいのに、聞けない。
晴馬君は何を知ってるの?