LOVE DAYS

「確か、こっち」


晴馬君が通ってた方向に足を進める。

中庭を抜けた所に体育館がある。

そこの扉を開けて除くも誰も居なくて、その付近を捜してみた。


「この道から帰ったのかな…」


居ない。

何処にも。


今まで行った事もない体育館の裏手に回る。

そこにあるのは大きな建物で…


その周りにはベンチに水道。

でも特に誰もいない。


ここから晴馬君は帰ったのかもしれない。

だからもう帰ろう。と思った時、パァンッ――…と乾いたその音に耳が反応した。


再び建物に顔が向き必然的に足が進む。

その大きな建物の横を通ると白壁の途中から全体的にフェンスに変わる。

そのフェンスに囲まれた中に居るのは、


「…晴馬君?」


弓を引く晴馬君だった。

制服のズボンを脹脛まで折って、相変わらずの私服のTシャツの袖を肩まで捲りあげ、その視線は真剣に的を見てる。

いつもの晴馬君じゃない。

こんな所、初めて来たし、むしろ晴馬君がしてるって事すら最近知った。


あたしは晴馬君の事を何も知らない。

晴馬君はあたしの事を知ってるって言ったけど、あたしは晴馬君の事を何も知らない。


頭が物凄くいい事だって知らなかった。

ただ知ってるのはだらしない晴馬君ってイメージで、でもそのイメージは違うような気がした。

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