LOVE DAYS
優しい人と言うのはきっとこの人の事を言うんだと思った。
優しくなんかないって、晴馬君に怒鳴ったけど、でも晴馬君はいつも優しかった。
佐々木君の優しさと晴馬くんの優しさは違う。
晴馬君は、あたしに無理やりキスなんてしない。
好きって、ほんとかどうか分かんない言葉を散々あたしに浴びせたけど、無理やりキスなんてしてこない。
だから佐々木君は何故か怖く感じた。
でも明日の土曜日、絶対に行かなきゃいけない。
行かないと、佐々木君があたしを探しに来る。
何処に居ても、何処に行っても、探しそうな気がした。
「晴馬君、あたし…」
その続きが言えなかった。
明日の事なんて言えない。
浮かれてたあたしが悪いんだ。
なのに晴馬君は佐々木君の話には一度も触れなかった。
もうなかったかのように…
「なんだよ、萌。お前、そんなに俺に構ってほしかったのかよ」
だったらダメ?
なんだろう、この気持ち。
分かんない。
分かんなさ過ぎて、困る。
「…ち、違うよ」
「お前、どんだけ俺の事、拒否んだよ」
フッと鼻で笑った晴馬君の顔が何だか切なくて、こんな晴馬君をやっぱり初めて見た。