LOVE DAYS
「晴馬君…何で弓道やってんの?」
「あー…俺?似合わねーとか思ったっしょ?」
「ううん。凄いって思った。あんな真剣な晴馬君、初めて見たからカッコ良かった」
「どーも。萌ちんに言われたら頑張れそうな気がする」
「頑張る?」
「そう。明日、大会があんの」
「大会?弓道の?」
「あぁ」
「凄い。でも晴馬君今までしてなかったよね?どうしてやり始めたの?」
「……」
そう言ったあたしに晴馬君が寂しそうに笑った。
聞くなよって言いたそうで。
目が寂しそうだった…
「ご、ごめん。別に言いたくなかったら言わなくて――…」
「来て」
そう声を掛けた晴馬君は弓道の中へと入ってく後ろをあたしは着いて行った。
初めて入る弓道場は木の匂いがする。
目の前にある的が物凄く遠い。
そして晴馬君は弓と矢を手に持った。
凄い、綺麗な射手。
弓道の決まりとか何もかも知らない。
むしろ初めて見る。
だけどそんな初めてのあたしがみても分かるほど、物凄く綺麗な射手だった。
晴馬君の行射に目を奪われる。
パァンッ――…と掠める音と見事に的中する晴馬君は気持ちが楽になったかのように優しく笑った。
「ストレス発散」
「ストレス?」
「すげぇムカつく事、嫌な事、忘れたい事、全部この矢に込めて的に中てる。そうすると、すっげぇ気分いいの」
「……」
「って、それもあるけど。始めたきっかけは好きな人がしてたから」
「好き…な人?」
晴馬君の好きな人って?
やだ、なんか目が潤む。
どうしてだろう。
馬鹿だな、あたし。
自意識過剰じゃん。
もしかしてって思った。
晴馬君はあたしの事が好きなのかなって。
だって、あんなに好き好きって言うんだもん。
でも、あの日以来、晴馬君はあたしに言わなくなった。