LOVE DAYS

「俺、小6の時に母親病気で亡くしてて、それを思ってかお袋の仕事仲間の娘がよく俺んちに来て飯作ってた」

「……」

「そいつは俺より3つ上で、いつも母親ぶって本当に馬鹿なやつだった」

「……」

「そいつがさ弓道してて、嫌な事あったらあの的に矢を中てればいい。スッキリするよって言われて始めたのがきっかけ」

「……」

「中学もサボってばっかしてた俺を構うわ、ガキ扱いするわで正直うっとおしかったけど、気づけばアイツが好きだった」

「……」

「でも、俺が中3の時、アイツは死んだ」

「…っ、」

「病気だった。母親と同じ癌で。知らなかった、ずっとずっと俺が知らないまま死んだ」

「……」

「そっからもう俺、自分見失うくらい適当。何もかも嫌になってた」


晴馬くんは笑った。

そう寂しそうに、物凄く寂しそうに笑った。

こんな晴馬君、見た事ない。


あたし、本当に晴馬君の事なにも知らない。

晴馬君はあたしの事、たくさんたくさん聞いて来るのにあたしは晴馬君の事を聞こうとも知ろうともしなかった。


「…芹奈ちゃんは知ってるの?」


ずっと腐れ縁だった芹奈ちゃんは知ってるの?


「あぁ、知ってるよ。唯一、芹奈だけが知ってる」

「……」

「だって俺の好きだった奴は芹奈の姉貴だったから」

「…えっ、」


瞬きを忘れてしまった。

瞬きを忘れたら目が痛くて痛くて、涙が溢れてそれが伝う。

拭う事も出来ずにそれがただポタポタと落ちて、頬にも何度も伝う。

晴馬君が好きだった人が芹奈ちゃんのお姉さん…


そうだ。芹奈ちゃんは言ってた。

3人姉妹って。

でも真ん中のお姉さんは亡くなったって…
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