LOVE DAYS

「亡くなる前に入院先でアイツが言った。弓道の才能あるから続けたら?って。今度の大会自分は出れないから変わりに出てほしいって」

「……」

「でも俺は出なかった。正直、弓道なんかかったるいし矢を中てた所で気分なんか晴れねぇし、だから行かなかった」

「……」

「でも、後悔した。物凄く物凄く後悔した。その日の夜、アイツが死んだ」

「……」


どうしよう。

何も言えない。

何も言葉が出ない。


「もし大会に出てたらその報告が出来たのに、何も言えなかった。俺は入院の理由が体調悪いって聞かされてたから」

「……」

「まさか、死ぬなんて思ってもみなかった」

「……」

「だから明日、その約束果たそうと思って」

「……」

「明日あいつの命日。丁度3年前と同じ大会の日。だからこれで弓道最後。あいつに報告して終わりたい」

「……」

「だから萌?明日学校来ねぇから。ごめんな忙しかったのってその理由。ずっと練習してた」

「…芹奈ちゃんは知ってたの?」

「さぁ、言ってねぇからな。だからアイツとはずっと腐れ縁ってわけ。アイツとは色んな噂が出回ったからな」

「……」

「でも芹奈も、その一番上の姉貴の事も好きにはなれなかった。顔は似てんのに…」

「…っ、」

「それって何でか分かる?」

「え?」


晴馬君がフッと優しく笑った。


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