LOVE DAYS
「名前の通り100回、弓を引いてその的中の数で勝者が決まる」
「え、100回も?」
「あぁ。でも問題ねぇだろ。アイツ予選会、99的中だったから」
「えぇっ、晴馬、化け物なんじゃない?そんな奴いないよ普通」
「だな。すげぇ練習してたよ」
芹奈ちゃんが驚きの声を上げるあたしは、ただその凄さに呆然としてた。
99って、一回しかミスらないって事だよね?
「カイト予選も来てたの?」
「あぁ。晴馬に誘われた。お前らには言うなって口止めされてたけど」
いつ予選会なんてあったんだろう。
知らない。ほんとに知らない…
晴馬君は本当に自分から何も言わない人だ…
「ちょっとヤバいって、今日の大会に藤堂晴馬、出るんだって」
不意に聞こえた声に思わず視線を後ろに向ける。
女の子5人が前後に座って会場を見渡してた。
「マジで?あの全国制覇した超イケメン?」
「そう。予選会99的中」
「やばすぎ。もうそんなの藤堂くんじゃん」
「でもなんで?もう弓引きから引退してたんじゃなかったの?」
「さぁ分かんないけど、もう弓連は大騒ぎしてる。全国制覇が帰って来たって」
「そりゃあんな美形に帰って来られちゃ騒ぐに決まってるよ。それに勝ち目ないじゃん」
淡々と話される会話が右から左へと言葉が抜けていく。
そんなに凄いんだ、晴馬君――…