LOVE DAYS
〈ただいまより――…全国高等学校弓道部、男子個人戦百射会を行います――…〉
アナウンスが流れ、名前が次々に呼ばれていく。
そしてその中に晴馬君を目で捉えた。
袴に着替えた晴馬君の姿に周りの甲高い叫び声と、晴馬君の名を叫ぶ女子の声が聞こえる。
「なんかあれだね…晴馬がどんな凄い奴かって事を改めて実感するね」
周りの声に芹奈ちゃんは苦笑いを始める。
「だよな。弓道に入った時さ、すげぇ奴が現れたって思ったよ。外見はすげぇチャラいのにこんな奴に負けたくないって思った」
「そうだよね、そう思うよね」
「だけど俺は勝てなかった。何十人もいる中でアイツは常にトップの座を保ってて、いくら頑張っても2位から上にいけねーのアイツが居る限り」
「もうカイトはしないの?」
「しないね。俺は自分の中で自己満足してるし。でも晴馬はまだしてないみたいだな。これに賭けるって、」
「あ、始まる――…」
一斉に横に並んだ人達。
会場がいっきに静まる。
遠くの方で、晴馬君が弓を引き――…
「は?アイツ、何やってんの?」
不安そうなカイトくんの声に息が詰まる。
覗き込んだあたしの目に映ったのはカイトくんの表情を崩す顔。