一番好きな言葉は君の名前。
僕は自分が誰なのかも分からないんだ。
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茶色と黒が混ざったような色の枝の逆剥けが足の裏を刺して傷つけていく。
焦点もだんだんと合わなくなってきて、脳全体が、ぼおっ、として何も考えられなくなってくる。
突然膝に力が入らなくなって体が大きく傾いた。
小枝のひんやりとした感覚が頬を撫でて無理に力を入れようとした足は、ぴくり、ともしない。
「-大丈夫ですか、?!」
『…え……、』
白くぼんやりとした世界の中で薄く小さく見えた大きなリボンがつま先に付いたネイビーのパンプス。
「…喋れないほど衰弱してるのね、私が助けてあげる、」
“助けてあげる”
そんな言葉………初めて聞いた。
いい言葉なのか、悪い言葉なのかも分からない。
だけど、何だか彼女になら全てを任せられる気がして、
遠のく意識の中で誰かの名前を呼んだ-気がした。
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