孤独なメモリア
母が死んで以来、父は時々上の空になったり、独り何かをブツブツと呟いたりしていたが、日に日にそれは酷くなっていた。

家事は全て自分で行い、時には父が帰ってこない時があり、1人で夕食をとる時もあった。

いつしか父は、どんなに近くにいても私の声に耳を傾ける事は無くなった。

凛が12歳になったある日、ポストに病院からの手紙が来た。
父が10歳になっても、能力が消えてるかどうかの審査に連れて行ってくれなかったからだ。
基本的、能力は10歳になってから消える者と消えない者で別れるので、必ずどうなっているのか診断を受けないといけないのだ。

父の机の前に静かにその封筒を置くと、少ししてから病院へ連れて行ってくれた。
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