孤独なメモリア
病院に行くと、10歳近い子供達が沢山両親といた。
受付カウンターまで行くと、父が封筒を差し出した。
看護師が中身を確認した。
「すぐ診断させていただきますので、少々お待ちください。」
その後すぐ審査室まで連れて行かれ、しっかりした医師に診断をして貰った。
いつも家にいた私は特に支障がなかったため、アビリタでは無いだろうと思っていた。

診断が終わり、父と先生の前の椅子に腰掛ける。

先生は少し険しい表情をしているように見えた。
「先生。どうでしたか。」
父の声を久しぶりに聞いた気がした。
先生は静かに口を開いた。
「貴方の娘さんは……アビリタです。」

きっとこの診断を受けた瞬間、父は完全に壊れてしまったのかもしれない。
父は大手企業の社長だったが母が死んで以来、経営がどんどん悪くなるばかりだった。
そして私の持っている能力は

全てを明確に記憶し実行できる他、触れたものの記憶を見る事が出来る力だった。
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