極上な王子は新妻を一途な愛で独占する
「アルフレート? 王弟に何かしたのか?」

「騙していたわ。仕方なかったと言っても悪いことをしたわ」

「その事は気にしなくていい。そんなに自分を責めるな」

「でも……」

「シェールが沢山の後悔と罪悪感で苦しんでるのは分かった。けどもうこんな風に泣くな。ミシェールの事はこれからは俺も一緒に支えていくから。だから大丈夫だ」

「カレル……」

シェールの青い瞳に、次々と涙が溢れる。
零れ落ちる涙をカレルが優しく拭ってくれる。

「シェール、俺たちずっと一緒にいよう。喜びも後悔も分かち合って共に生きよう」

「カレル……本当に私でいいの? 酷いことばかりしてるのに」

「シェールじゃなきゃ、駄目なんだ。返事は?」

「……私もカレルと一緒にいたい……ずっと」


カレルは幸せそうに微笑むと、泣き顔のシェールを愛おしそうに見つめ、口付ける。
啄ばむようにしていたキスはやがて深いものへと変わっていき、シェールが自分で立っていられなくなるまで続いた。



「んっ……あ、カレル……」

カレルの腕の中で、気が遠くなるような心地良いキスに酔っていたシェールは、彼が離れた事に寂しさを感じていた。


潤んだ瞳と切ない吐息を零すシェールに、カレルは男の欲が込み上げるのを感じていた。

今すぐ抱いてしまいたい。

そう思ったけれど、先に言わなくてはならない事がある。

シェールが全てをさらけ出してくれたように、自分も言わなくてはいけない。

「シェール、俺もお前に謝らなくてはならない事がある」

「謝る事? なあに?」

無垢な瞳で見つめて来る大切な人に、カレルは告げた。

「今まで黙っていた俺の本当の身分について。俺の本当の名前は、カレル・アルフレート・キース・バルデス。
先王の第七王子で、現国王の弟。そしてユジェナ侯爵令嬢ラドミーラの夫だ」

「……え?」

「今まで名乗らなくて悪かった。いろいろと事情が有ったんだが、シェールを騙していた事には変わりない……本当にごめんな」

シェールの顔に驚愕が広がる。涙は引っ込み、散々貪った小さな唇はか弱く震え、それから「うそ……」と呟くとぐったりとカレルの腕の中で力を失ってしまった。
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