極上な王子は新妻を一途な愛で独占する
「ごめん、驚かせたな」
カレルは慌ててシェールを抱き上げる。散々公道でキスをしておいて今更だが、目立たないよう木陰に隠れる。
シェールはカレルの服をつかみ、未だ動揺が収まらない様子で言う。
「カレルが……アルフレート殿下? 私の、ううんミシェールの夫?」
カレルは腰の抜けたシェールを介抱しながら、答える。
「シェールだけの夫だ。名乗るまで千日もかかってしまったけどな」
「あ……今日は千日目……」
「そう、離縁が出来るようになった日だ。でも俺は新しい出発の日にしたい。シェール、改めて言う。俺の妻になってくれるか?」
「本当に、私でいいの? 私は貴族育ちじゃないし、ミシェールのように頭も良くないんだよ?」
「さっきも言っただろ? シェールがいいんだ。お前じゃないと、俺はダメなんだよ」
真摯に言うカレルにシェールは抱き着く。
そして、迷いなく言った。
「私もカレルじゃないと駄目。カレルが大好きなの」
その瞬間、シェールはカレルに強く抱き締められる。
逞しい胸の中で、息もできないような情熱的なキスを受ける。
結婚して千日目。
その日は離縁ではなく、新しい始まりの日。
隣には最愛の本当の夫がいた。