極上な王子は新妻を一途な愛で独占する
「馬車もパッとしないのね、これかなり昔のものではない?」
マグダレーナは玄関脇に用意された馬車を見るなり文句を言い、渋々と乗り込んだ。
馬車に乗るのは、マグダレーナと幼い頃から彼女に仕える侍女と、シェールの三人。
侍女はシェールの育ちを知っている数少ない人間だ。
よって、馬車の中でも素のまま会話が続く。
「本当に寂れた所ね。館もそうだけど王族の領地とは思えない」
「静かで良い所ですよ」
「シェールは元々田舎育ちだから何も感じないのだろうけど、私なら耐えられないわ」
「!……ではやはりお帰りになられては? この馬車で送りますよ」
「お前、さっきからそればかりね。次に言ったら許さないから」
ギロリと睨み付けられて、シェールはがっかりと項垂れる。
「ねえ、最近アルフレート殿下とはどうなの?」
突然話題が変わった事に、シェールは首を傾げる。
「どうとは?」
「争いになったりしてるのかって事。今は不在みたいだけど時々は帰って来るんでしょう?」
「争い?」
アルフレートとは顔を合わせた事も無いから、争いなんて起きる訳も無いけれど。
怪訝に感じていると、マグダレーナが何とも言えない表情になった。
「私ね、お父様達が話しているのを聞いたの。それでお前がアルフレート殿下の事を責めてるのかと思って」
「……何を聞いたんですか?」
「心当たりあるでしょう? アルフレート殿下に変わった所は無かった?」
「いえ、全然」
変わったも何も、顔すら知らない。
シェールの返事に、マグダレーナは焦ったそうに言う。
「本当に気付いていないの? じゃあ教えてあげる。アルフレート殿下には恋人がいるのよ!」
「ああ……その事ですか」
もっと重大な事を言われるのかと身構えていたシェールは、拍子抜けしてしまう。
逆にマグダレーナが慌てて、早口になる。
「え? 知っていたの? なんで! お父様はシェールには秘密にするって言っていたのに」
その秘密を随分簡単に暴露したものだと呆れてしまう。
マグダレーナは玄関脇に用意された馬車を見るなり文句を言い、渋々と乗り込んだ。
馬車に乗るのは、マグダレーナと幼い頃から彼女に仕える侍女と、シェールの三人。
侍女はシェールの育ちを知っている数少ない人間だ。
よって、馬車の中でも素のまま会話が続く。
「本当に寂れた所ね。館もそうだけど王族の領地とは思えない」
「静かで良い所ですよ」
「シェールは元々田舎育ちだから何も感じないのだろうけど、私なら耐えられないわ」
「!……ではやはりお帰りになられては? この馬車で送りますよ」
「お前、さっきからそればかりね。次に言ったら許さないから」
ギロリと睨み付けられて、シェールはがっかりと項垂れる。
「ねえ、最近アルフレート殿下とはどうなの?」
突然話題が変わった事に、シェールは首を傾げる。
「どうとは?」
「争いになったりしてるのかって事。今は不在みたいだけど時々は帰って来るんでしょう?」
「争い?」
アルフレートとは顔を合わせた事も無いから、争いなんて起きる訳も無いけれど。
怪訝に感じていると、マグダレーナが何とも言えない表情になった。
「私ね、お父様達が話しているのを聞いたの。それでお前がアルフレート殿下の事を責めてるのかと思って」
「……何を聞いたんですか?」
「心当たりあるでしょう? アルフレート殿下に変わった所は無かった?」
「いえ、全然」
変わったも何も、顔すら知らない。
シェールの返事に、マグダレーナは焦ったそうに言う。
「本当に気付いていないの? じゃあ教えてあげる。アルフレート殿下には恋人がいるのよ!」
「ああ……その事ですか」
もっと重大な事を言われるのかと身構えていたシェールは、拍子抜けしてしまう。
逆にマグダレーナが慌てて、早口になる。
「え? 知っていたの? なんで! お父様はシェールには秘密にするって言っていたのに」
その秘密を随分簡単に暴露したものだと呆れてしまう。