極上な王子は新妻を一途な愛で独占する
「い、いえ……知らない。でも森の見回りをしている人達の事は聞いているわ。森の事はその人達の言う事を聞かなくては駄目だってサンレームに来て直ぐに教わったの」
「サンレームは森の里と呼ばれているくらいですからね。見回りを仕事にしている者がいるのも頷けます。ではカレルとは全く面識がないと言う事ですね」
「……ええ」
侍女に再度問われシェールは相槌を打つ。その途端に気分が沈んでいくのを自覚する。カレルの事で嘘を吐くのに抵抗があるのだ。
(嘘でも知らない人なんて言いたくないのに……)
「どうしてその男に拘っているの? 何か気になるところがあったの?」
マグダレーナが、口を挟んだ。侍女はその問いにすぐに答える。
「カレルの髪の色が黒かったのです」
「えっ! 黒って嘘でしょう?」
マグダレーナは、シェールが驚くくらい大げさな反応をした。
「あの、マグダレーナ様、どうしてそんなに驚いているのですか? 髪が黒いと問題があるのですか?」
シェールの素朴な疑問に、マグダレーナは信じられないといった様子で口をぽかんと開く。
その数秒後、勢いよく語り始めた。
「貴族の常識が全く身についていないお前に、特別に教えてあげるわ」
ずいぶんな言いようだ思う。貴族社会の事も多少は理解できるようになって来ているのに。
でも、髪について記述されている文献は渡されなかった。
「サンレームは森の里と呼ばれているくらいですからね。見回りを仕事にしている者がいるのも頷けます。ではカレルとは全く面識がないと言う事ですね」
「……ええ」
侍女に再度問われシェールは相槌を打つ。その途端に気分が沈んでいくのを自覚する。カレルの事で嘘を吐くのに抵抗があるのだ。
(嘘でも知らない人なんて言いたくないのに……)
「どうしてその男に拘っているの? 何か気になるところがあったの?」
マグダレーナが、口を挟んだ。侍女はその問いにすぐに答える。
「カレルの髪の色が黒かったのです」
「えっ! 黒って嘘でしょう?」
マグダレーナは、シェールが驚くくらい大げさな反応をした。
「あの、マグダレーナ様、どうしてそんなに驚いているのですか? 髪が黒いと問題があるのですか?」
シェールの素朴な疑問に、マグダレーナは信じられないといった様子で口をぽかんと開く。
その数秒後、勢いよく語り始めた。
「貴族の常識が全く身についていないお前に、特別に教えてあげるわ」
ずいぶんな言いようだ思う。貴族社会の事も多少は理解できるようになって来ているのに。
でも、髪について記述されている文献は渡されなかった。