極上な王子は新妻を一途な愛で独占する
マグダレーナは、いつもより押しの強いシェールの態度に眉をひそめながら返事をした。

「会いに行くわよ、早速明日にでも。今日はあまり話しが出来なかったけれど生い立ちとか聞きたいし。無口な感じだから聞き出すのに時間がかかるかもしれないわね」

「時間がかかるって……何度も会いに行くつもりなんですか? それに生い立ちを聞くってどうしてですか?」


カレルとマグダレーナが頻繁に顔を合わせるなど、考えるだけで憂鬱になる。
今日のような不安をずっと味わう事になるのだ。カレルにとっても迷惑だろう。

「毎日会いに行くなんて、迷惑だと思います。だから……」

「もう! さっきからうるさいわね! 私が訪ねて迷惑ってどういう事?」

止めてほしくて必死に訴えたものの、遂に怒りを買ってしまった。
癇癪を起こしたマグダレーナに怒鳴りつけられる。

「そ、それは……迷惑って言い方は悪かったですけど、相手も仕事がある訳だし、邪魔しては気の毒だと思います」

「仕事は他の者にやらせればいいでしょう? それよりも彼の生い立ちを確認する方が優先だわ」

「どうしてそこまで育ちを気にするんですか?」

シェールの問いかけにマグダレーナは怒りを通り越したのか、馬鹿にしたように笑ってみせた。

「お前は本当に何も分かっていないのね。カレルは間違いなく王家の血筋なのよ。生い立ちを聞けば親が誰だとか分かるかもしれないじゃない」

「……そうかもしれませんが、親が分かったらどうするんですか? まさか、会わせる気ですか?」

それこそ余計なお世話では無いだろうか。
カレルには、彼自身が築いてきたサンレームでの暮らしがある。

もし、彼が本当に王族だったとしても、身分が欲しいとか親に会いたいとか思うか分からないのだから。
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