極上な王子は新妻を一途な愛で独占する
「後見役?」

予想もしたかった事にシェールは眉をひそめた。
先代国王の時代から顧みられる事のなかった、はっきり言えば干されていた第七王子のアルフレートに、なぜ今更後見役が必要になるのだろう。

しかも後見役は、名門コルダ公爵家のルドヴィーク。本人は問題がありそうだけれど、家柄だけで言えば最高だ。

そんな後見役が着いたら、今まで無縁だった王宮での権力争いに関わる事になるのではないか。


シェールには詳しい事は分からないけれど、何かしらの変化は必ずあると思う。そしてそれはシェールに影響を及ぼすかもしれない。


聞き流す事は出来ない。
面倒がられるのを予想しながらも、ゆったりと葉巻を咥えるユジェナ侯爵に問い詰めた。


「アルフレート殿下に後見役が着くのはどうしてですか?」

思った通りユジェナ侯爵は、鬱陶しそうな視線をシェールに向ける。
それでも無視をする気はないようだった。

「最近、アルフレート殿下の生母の出自の情報が正された。生母はリブレ国の王家の血を引く姫君だったそうだ」

「王家の姫君? なぜ平民だなんて言われていたんですか?」


初めから姫だと知っていれば、アルフレートは蔑ろにされる事など無かったはずなのに。


「詳しくは知らないが大方、身を守る為に国王が隠していたのだろう。リブレ国は少し前まで、王位継承争いが起きていたからな」

「アルフレート殿下が他国の王族だったと分かったから、後見役がつくのですか?」

「亡くなった姫の持っていた、王位継承及び財産はアルフレート殿下に継承される。我が国の貴族がしっかりと管理しないとならないからな」

「……今まで見向きもしなかったのに」

なんて勝手なのだろう。
不快感を露わにするシェールに、ユジェナ侯爵は面白そうな顔をした。
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