極上な王子は新妻を一途な愛で独占する
「シェールが日焼けを気にするなんて、意外だよな」

カレルは腑に落ちないような顔をする。

「……皮膚が弱いから」

「へえ……そう言えばシェールって真っ白だよな。日焼けした事ないからか?」

「うん、まあ……」

本当はそう言う訳でも無い。ユジェナ侯爵に呼び寄せられる前は何も気にせず外で働いていたから。
日焼けし辛い体質なだけなのだけれど、今は黙っておく。

カレルは洗い終えたシーツを広げて、手早く干しはじめた。
シェールも急ぎ包帯を洗い終え、カレルと並んで干して行く。

サワサワと気持ちの良い風が通り抜けて行く。
これなら早く乾きそうだ。


「少し休憩しようぜ」

カレルに誘われて水場近くの大きな木の下に座る。

ホッと一息ついていると、カレルが手を伸ばして来てシェールのベールをはらりと取り去った。


「えっ……カレル?」

驚くシェールをカレルがじっと見つめて来る。

「木陰だから、大丈夫だろ?」

「そうだけど……」

「綺麗なのに隠しておくなんてもったいないな」

ふんわりと纏めてあるシェールの髪を、カレルは一房掴んでクルクルと指で弄ぶ。

「き、綺麗って……」

カレルにこんな風に褒められるのは初めてだ。

戸惑うシェールに、カレルは優しく微笑み言う。

「こんな綺麗な蜂蜜色の髪、見た事ない」
「え……あ、あの……」

せっかく落ち着いた胸の鼓動が再び忙しく動き出す。

熱くなった頰を風が撫でる。

くすぐったい気持ちを言葉にする事が出来ないまま、シェールはカレルを見つめていた。
< 9 / 102 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop