極上な王子は新妻を一途な愛で独占する
しばらく抱き合った後、カレルはシェールをそっと離した。

「リント村に行くつもりなんだろ?」

シェールは大きく目を見開く。

「なんで?」

「ミシェールに聞いた」

「えっ? ミシェールに会ったの? どうして⁈」

あまりの驚きにオロオロし始めたシェールに、カレルはくすりと笑う。

「落ち着けよ。一から話すから」

「う、うん、でも……」

「ミシェールにお前達の事情はだいたい聞いた。勝手に聞いて悪かったな。本当はお前の口から直接聞くべきだったが、そうもいかなかった」

「ううん、それはいいんだけど……ミシェールとはどこで会ったの?」

「サンレームの王弟館」

シェールの口がポカンと開く。

「そ、それじゃあミシェールの立場も?」

「ああ、王弟妃だろう?」

完全にバレている!
元々次に会った時には正直に話すつもりだったけれど、自分のいない所でどんな話になったのか不安だった。

それに、王弟館でミシェールに会ったと言うことは、カレルは王弟アルフレートの関係者だったのだ。

もちろん少しは予想していた。
でも、違かっていて欲しいと、きっと違うと根拠なく楽観的に考えていた。

「あ、あの……と言うことは、私の素性も……」

「聞いた。偽王弟妃殿下だろ?」

ああ……完全に知られている。
シェールはがっくりと項垂れた。

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