極上な王子は新妻を一途な愛で独占する
「カレル……これにはとても深い訳が」

「リント村の事だろ? さっきも言ったがミシェールにだいたいの事情は聞いた」

「あっ、そうだよね……でもそれなら私の事怒ってるよね? ずっと皆を騙していたんだし」

恐る恐る言うシェールに、カレルは苦笑いを浮かべた。

「そんなビクビクするな。たしかにシェールのやった事は投獄されてもおかしくない程の事だけど、そうするしかなかった事情も聞いた。お前は私利私欲の為に偽王弟妃になった訳じゃないだろう?」

「そうだけど……」

シェールは落ち着きなく視線を彷徨わせていたけれど、ハッと何かに気付いたのか、青ざめた。

「ミシェールは? 事情を話したって事はアルフレート殿下にバレてしまったって事?」

ユジェナ公爵は、アルフレートが近いうちに戻ると言っていた。
その事が不安だったけれど、ミシェールは大丈夫だと言ったのだ。
シェールよりずっと賢いミシェールがそう言うのだから、なんとかなるのだろうと思っていたけれど、もし違っていたのなら、今頃ミシェールは……。

「わ、私、サンレームに戻る! アルフレート殿下に投獄されるなら私がされる!」

今にも駆け出しそうなシェールを、カレルは慌てて止める。

「シェール、落ち着けよ! ミシェールなら大丈夫だから」

カレルはシェールを抱き寄せる。

「……本当に? 」

カレルにしっかり抱かれたシェールが、不安そうに見上げて来る。
カレルは安心させるように微笑んだ。

「ああ。だから落ち着け」
「うん……」

シェールの鼓動が穏やかになったのを感じると、カレルが静かな声で言った。

「なあ、どうしてそこまでミシェールを守ろうとするんだ? 今回の件はミシェールが計画した事で、シェールは協力した方の立場だろう?」
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