極上な王子は新妻を一途な愛で独占する
「そうなんだけど、たしかにミシェールが考えた事だけど……」

シェールは青ざめた顔で考え込んでいたけれど、やがて決心したように口を開いた。

「ミシェールは病気なの」

「病気? ……ああ、そう言えば咳き込んでいたな」

「えっ? 大丈夫なの?」

「ああ、テオドルが薬を飲ませたら落ち着いていた」

「あ……そっか、テオドルが付いているんだ。なら大丈夫だよね」

ホッとした様子のシェールをカレルは見つめる。

「以前からの病だから心配いらないと言っていたが、良くないのか?」

シェールは悲しそうに頷いた。

「うん……ねえ、カレル。ミシェールはね、自分と同じ病気で苦しむ子がいなくなるようにって願っているの。その為にユジェナ侯爵からリント村の権利を貰いたかったの」

「ミシェールの病は、リント村の問題と関係があるのか?」

「……うん」

シェールは辛そうに頷く。

「事情を聞いていいか?」

「うん……ミシェールは子供のころ、野生の毒草が生えている水辺に近付いてしまって、そこで毒に侵されたの。それ以来体を壊してこの先も治る見込みはないの」

「リントの毒か……ユジェナ侯爵は何の対策も取らなかったのか?」

「うん、訴えても何もしてくれなかった、だから私たちは自分達でやろうと決心したの。ミシェールは自分と同じような子を無くす為に凄く頑張っているの」

「そうか……だが、その為にシェールが犠牲になるのは間違っているだろ? ミシェールだってそんな事望んでいないはずだ」

ミシェールこそ、シェールを案じていた。

『あの子は昔から楽観的であまり人を疑わないから、道中騙されていないか心配だわ」そう言って顔を曇らせていた。
シェールはを犠牲にして、自分が助かろうなんて考えていないはずだ。

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