月光と罪
そんな私の思考に気づいてか、伯父さんは私の頭を撫でた
そして屈んで約30センチの身長差を縮めてから問うた
「麻穂、透くんが心配なのはわかるけれど・・・まだ僕に言ってないことがあるんじゃない?」
『あ・・・おかえりなさい、伯父さん。』
伯父さんはいつも おはように始まり いってきますやご馳走様などの挨拶をするのを促す
まるで子供扱いだけど、言わない方が悪いのはわかる。だから私も素直に従う。
いつも仕事でなかなか帰らない伯父さんだからこそ、きっとこういう所は徹底したいんだと思う
「うん、ただいま。」
にこり、笑って言う伯父さん
私も釣られて笑った
伯父さんはとても若く見える。
それこそ20代前半に見られることもある
そんな容姿も相まって伯父さんは 父のような兄のような存在の人なのだ
『今日はね、ユキノがピザを焼いてくれているんだよ!チーズたくさん乗せてもらったの!もうすぐ焼き上がるんじゃないかな?』
「へぇ、それはいいね・・・。」
頷く伯父さんの手を取り、早く早く、とリビングルームへと引っ張る
途中、ちらりと書庫を見たけれど、また話しかける勇気なんてなく、素通りするしかなかった