姉さんの先輩は狼男 孝の苦労事件簿③
乙矢の視界に、エリアルの瞳が入った。
真っ赤な、獣のような眼。
きっと自分の首の骨など、躊躇わずに折ってしまう……。
その時乙矢の頭に、何か硬くて軽いもので、
思い切り叩かれる衝撃が走った。
カポン!という小気味良い音がする。
……結構、痛い。
「エリアルに何するんだー!
……って、うわ逆じゃん‼間違ったっ!」
(その声は……孝か……)
いつから自分を尾行していたのだか、
孝はエリアルの凶行に気付くと、大騒ぎでまくし立てた。