姉さんの先輩は狼男 孝の苦労事件簿③
こんな状況にありながらも、自然と乙矢の口元が綻んだ。
ああ、孝はいつまで経っても、小さい頃と変わらない。
「ごめんごめん……ゲホゲホ……俺が悪かったよ。
待って、ちゃんと理由を話すから……」
乙矢は改めてエリアルに向き直り、正座をした。
「紛らわしい事をして済まなかった。
ただ、ここまで君が追い詰められているとは思わなくてさ……」
乙矢の差し出した名刺に、エリアルは拍子抜けした。