姉さんの先輩は狼男 孝の苦労事件簿③
(おかしいなあ……時間も場所も間違ってないはずなのに、
どうして皆いないの……?)
駅舎をぐるりと一周歩き通して、
元の改札口付近に戻って来た時だった。
「あ、もしかして一年生?」
声をかけられて振り返ると、見た覚えのある青年がいた。
銀髪で、ちゃらちゃらして目立った格好だから、
多分間違いない。
先輩だった。
「はい、あの……他の方は……」
「今来た電車に、皆いたよ。
もうすぐ、こっち来ると思うけど……」
彼の言った通り、ほどなくして全員集まった。