姉さんの先輩は狼男 孝の苦労事件簿③
集合時間を、数分過ぎた辺りで。
みんな、ルーズだなあ……。
「それじゃあ、全員揃いましたね?」
ベリーショートの髪の、部長とおぼしき女性が、明るく言った。
「出発進行!」
「……徒歩でだけどね」
小声――でも、しっかりと全員に聞こえる声で、
先ほどの銀髪が茶々を入れた。
部長が、「うっせー!」と笑う。
「あの二人はね、付き合ってはいないんだけど、
両想いなんだよ」
横から、同じクラスの友達が教えてくれた。