姉さんの先輩は狼男 孝の苦労事件簿③
遠い記憶。
まだ自分が、何も分かっていなかった時の事。
この墓の中の住人の、声や姿が鮮明に蘇る。
『馬鹿だなあ、エリアル……だからお前はいつまでも、半人前なんだ』
『いくら美しいご婦人方の心を掴んでもな、
結局は……お前が強くなければ、誰もが離れていってしまうものだよ』
『――見ろ、エリアル! 朝日だ!
やばいぞ、ちょっと遊びすぎたな……早く建物へ!』
色々な場所、色々な時代。
彼とは最も長く、同じ時間を過ごしてきた。