姉さんの先輩は狼男 孝の苦労事件簿③
おっちゃんは大きな欠伸をすると、ちらりと傍らのソファーに目をやり、
ちょっと迷った末に、ソファーに頭から飛び込んだ。疲れたんだろう。
「……ま、俺達人間に出来る事は、ここまでだろうな。
奴等の近況が判明しただけ、かなりの上出来だよ。
ありがとなー、小夜っち。後は支部の人達に任そう」
おっちゃんはうつ伏せになったまま、片手をひらひらと振った。
「分かった」
姉さんが、喜んでいいのか分からないような中途半端な表情で言った。
……もしかしたら、責任感の強い姉さんの事だから、
解決まで導くのが自分の役目だと思っていたのかもしれない。
エリアルが帰って来たのは、丁度そんな頃だった。
「ただいまぁ、小夜子」
「あ、お帰りなさいエリアル。随分ゆっくりだったのね。
どこ行ってたの?」
「うん、ちょっと色々。
……あと、お酒も買って来たんだ。
きっと君は、忘れてると思って……」