姉さんの先輩は狼男 孝の苦労事件簿③



状況が、一変した。

支部の人達に任せよう。

そう言っていたのにそうもいかなくなったのは、その数日後だった。
 
発端は、姉さんの元に届いた一通のメールだった。
 
俺達はその時、丁度昔のアルバムを押入れから引っ張り出してきて、

盛り上がっている最中だった。
 

玄関前で撮影したと思われる、満面の笑顔で写っている幼児の姉さんと、

表情がぎこちない少年のおっちゃん。

これは多分、おっちゃんがうちに来たばかりの頃で、俺が生まれる前の写真だ。
 
そのいくつか後の写真には、

まだ真っ赤でふにゃふにゃの顔をした、赤ん坊の俺がいた。

おっちゃんが、おっかなびっくり俺を抱っこしている。

何だか、自分で言うのもおかしいけど、微笑ましい……。



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