姉さんの先輩は狼男 孝の苦労事件簿③
「ひゃははははは」
「あはははははは」
俺がまだまだあどけないからこそ余計タチの悪い、悪戯写真のオンパレードだった。
「何なんだよもうー!」
ここで、俺はきゃあきゃあページをめくるおっちゃんと姉さんを、
じっと遠くから見つめるエリアルの姿に気付いた。
実に恨めしそうに、ソファーで体操座りになって、
親指の爪をぎちぎち噛んでいる……。
「……どうしたんだよエリアル。
何でそんな機嫌悪そうなんだ?」
俺が訊くと、エリアルは小さな子供のように、唇をきゅっと尖らせた。
「だってあの写真は、前にも一人でこっそり見たけど……」
「えっ、そうだったの」
「どこにも、僕がいないんだもん……」
(……当たり前じゃん)