姉さんの先輩は狼男 孝の苦労事件簿③
俺は、エリアルの大人気無さに、ちょっと呆れた。
でも、いじけてる態度は別として、理由には少しだけ同情出来た。
(……そっか、こいつ今まで色んな所を転々としてきて、
写真なんて撮ってなかったんだ)
「……ん? 吸血鬼って、写真に写るっけ?」
「幽霊だって写真に写るんだよ?
実体のある僕らが写らなくてどうするのさ」
「ふーん、なるほど。……じゃあ、覚悟!」
俺は、携帯電話のカメラをエリアルに向け、瞬時にシャッターを切った。
――カシャッ♪
画面には、惨めったらしく膝を抱えているエリアルが大写しになり、
「おおー、本当だ。写ってる写ってる。保存っと……」
「ちょっと待った孝! 撮るなら撮ると言ってくれ!
写真を撮るにも、ちゃんとそれなりのポーズってものが……!」
「るせー! 今度は連写だー!」
――カッシャカッシャカッシャカッシャ!
「だから待てと……っていうかあのねえ!
これじゃ、パパラッチと変わらないだろう君ィ!」