姉さんの先輩は狼男 孝の苦労事件簿③
「同じサークルの友達。
今日、月代先輩に飲みに誘われたって……でも、これ絶対罠だわ!」
「落ち着け、小夜っち!
まず、その子に電話かけて、確認を」
「分かってる!」
姉さんは緊張のせいか肩で息をしながら、必死にキーを押した。
メールの主は、三輪青子。
彼女は、先日姉さんと一緒にサークルの工場見学に同行し、
そこで月代銀司と玉野喜咲に出会っている。
(青子さん……お願い、出て……!)
内容は、
『今日の八時から、銀司先輩と飲みに行かないかって話なんだけど、小夜ちゃんも誘われた?
っていうか、これって行っていいと思う?』
という事だった。
玉野の事を気にしているのだろうか。
しかし、メールが来ていたのは大分前の事で、
姉さんはそれまで携帯電話を開かなかった事を、ひどく後悔していた。
数回のコールの後、運良く相手は出た。