姉さんの先輩は狼男 孝の苦労事件簿③
姉さんが再び頭を抱えた時、俺とエリアルは同時に叫んでいた。
「『人間なら』、だろ!」
俺とエリアルは、またしても同時に顔を見合わせ、
同じく「あ」と声を揃えていた。
せっかく良い事言ったと思ったのに、被った。でも、まあいい。
「僕なら、障害の無い空を飛べる。
それならずっと速くそこへ行けるよ」
「でも、エリアルは正確な場所が分からないと思うわ。
私だって、『アルト』なんて看板も見た事無……ううん、あったわ、そういえば。
でも確か、改装工事中だとかのだった気がするけど……」
「なら、決まりだ。僕が小夜子を抱えて飛ぶ。
二人は、電車なりタクシーなりで、来れば……」
「いや、小夜っちじゃ危険だ。俺が行く」