姉さんの先輩は狼男 孝の苦労事件簿③



とても、懐かしい顔だった。
 
ここ何年もずっと会えなくて、

それが寂しいと思った事さえあった。
 
姉さんが、堪らずといった感じに、大声で言った。

「お兄ちゃん!」

「おっちゃん……」
 
そう呼ばれた彼は、嬉しそうに顔をくしゃっとさせた。

「……久し振りだな、孝に小夜っち」
 

来訪者は、何年も前に一緒に暮らしていた親戚の男・乙矢だった。





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