姉さんの先輩は狼男 孝の苦労事件簿③



その幸せが崩されたのは、俺の人生にとって、あまりにも唐突な出来事だった。
 
たっくんの最後の足取りが、判明したのだ。

クラスの誰かが、思い出して担任に密告したのだという。

「たっくんは、『銀司くんの家に行く』って言ってました」と……。
 
ある日呼び出された談話室に行くと、中には教頭と校長と、PTAらしき男女がいた。

「君は、××君と先週、遊ぶ約束をしていたんだって?」
 
ぎくりとなった。やっぱり、たっくんのことだった。

「何があったのか、教えてくれないかな……?」
 
バレたんだと思った。

お母さんが、たっくんを殺していた事。

自分達が、たっくんを食べている事。

それを隠しているから……。

俺はいよいよ怖くなって、何も答えなかった。

質問の全てに首を横に振り、大人達を失望させ、

結局その日は日が暮れてから、やっと帰宅が許された。



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