姉さんの先輩は狼男 孝の苦労事件簿③
 


まさか立ち話で帰るわけじゃないんでしょ、

と姉さんが部屋に入るのを促し、俺はお茶の用意にとりかかった。
 
姉さんが「お兄ちゃん」と呼び、

俺が「おっちゃん」と呼ぶ人。
 
山戸乙矢は、俺達の遠い親戚だ。
 
だけど昔、俺達は一緒に暮らしていた。
 
両親を亡くした彼が、高校に入学するまでうちに引き取られていたのだ。
 

というかそれは、今考えてみれば十年以上も前のことだ。



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