姉さんの先輩は狼男 孝の苦労事件簿③
 


俺が物心付いた頃には、『おっちゃん』こと乙矢はもういた。
 
その為、小さい頃はずっと、おっちゃんは本当の兄だと思っていた。
 
だから、おっちゃんがいなくなってから、毎日姉さんと二人で泣いた。
 
彼は、高校を全寮制のところに決め、

合格するなりさっさとこの家を出ていってしまったのだ。
 
その時は、なんて薄情なんだろうと思った。

純粋に、おっちゃんがいなくなってしまった事に対して、

悲しくて腹を立てた。



< 19 / 317 >

この作品をシェア

pagetop