姉さんの先輩は狼男 孝の苦労事件簿③
俺が物心付いた頃には、『おっちゃん』こと乙矢はもういた。
その為、小さい頃はずっと、おっちゃんは本当の兄だと思っていた。
だから、おっちゃんがいなくなってから、毎日姉さんと二人で泣いた。
彼は、高校を全寮制のところに決め、
合格するなりさっさとこの家を出ていってしまったのだ。
その時は、なんて薄情なんだろうと思った。
純粋に、おっちゃんがいなくなってしまった事に対して、
悲しくて腹を立てた。