姉さんの先輩は狼男 孝の苦労事件簿③
だけど今ならちゃんと、彼が当時、
相当に肩身の狭い思いをしていたのだと想像できるし、
彼の努力を尊敬する事も出来る。不幸な境遇にも負けず、
きちんと大学も出て、就職も果たしたのだから。
「……孝、お前の名前考えたの俺なんだぜ。
俺がここんちに来てすぐに、お前が生まれてなあ」
おっちゃんは、昔からよく言っていた。
そう、何を隠そう俺の名付け親は、当時小学生だった彼だ。
母子手帳にだって、ちゃんと書いてある。