姉さんの先輩は狼男 孝の苦労事件簿③



か、れ、し。
 
ただ、その三語を発音すればいいだけなのに、口が拒否した。
 
途端に、我慢出来なくなったのか、

エリアルが俺のぱくぱくと動く口に合わせて、

勝手にアフレコした。

「か、れ、し、で、す……」
 
その瞬間、おっちゃんが数秒停止した。
 
顔が、完全に引き攣ってる。あちゃー。
 
そしてしばらくして、おっちゃんはこう言った。

「……それじゃ、俺の『紫の上大作戦☆』はどうなるの?」



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