姉さんの先輩は狼男 孝の苦労事件簿③
病室の誕生日
危ないことや怖いことのほとんどが終わった頃――
つまり、今回の一件が『解決』した頃に、俺は病室で目を覚ました。
「…………」
(何か……前にもこんなことあったな……)
前とは、もちろんセレナのことである。
俺はあの時、余計な事を口走ったがために、全力の吸血鬼に八つ当たりされたのだった。
しかし、前とは明らかに違う事が一つあった。
(……何で俺、ベッドに縛られてるんだろ……?)
仰向けに寝かされていたのだが、俺はふかふかの白いベッドに、布団ごと固定されていたのだった。
……逃げないように、そうされているのだろうか。
何とか首だけ動かしてみようと思ってもがいていたのだが、
首は首で、包帯やらテープやらがごっそり巻かれているようで、全く自由が無い。