姉さんの先輩は狼男 孝の苦労事件簿③



「お母さん……」

「……なあに?」

少年は、震えながら指を指した。

「それは、たっくんだよ……」

くるりと振り返った母親は、

細いロープを手に微笑んでいた。

「あら、駄目だったの?」


彼女は、動かなくなった『たっくん』の襟首を掴んだまま、

不思議そうに首を傾げていた。


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