姉さんの先輩は狼男 孝の苦労事件簿③
 


叫んだ瞬間、厨房が騒然となった。
 
別にこそこそ隠れていたというわけではないが、

――見付かった!と思った。
 
俺達は、数秒でその場の全員に取り囲まれた。

「あっら~!豊ちゃんじゃないの~!」

「どうしたの~、今日は学校の日じゃなかった~?」

「やだっ、この子豊坊のお友達~!?」

「初々しそうで可愛いわ~……!」

「あはん!可愛がってあげるわー」
 
両肩を正面からぽんと叩かれた瞬間、

俺はショックで涙が出そうだった。



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