姉さんの先輩は狼男 孝の苦労事件簿③



だが、それでも少し遅かった。

便箋に落ちた大粒の涙が、みるみる文字を滲ませていく。
 
また、いなくなったセレナの事を思い出して泣いてしまった。
 
本当に、突然の事だった。

その時の状況は、今でも自分の中で消化出来ずにいる。
 
幸せだった記憶が、こんなにも辛い。
 
痛みは、時間が忘れさせてくれるというが、

それは一体いつの事なのか。

ひょっとしたら、一生かかっても無理かもしれない。



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