白衣の王子様の恋愛感 【番外編12月7日up】
「だから、今日で終わりというのは、取り消して。そこは、続行ね。それから、今後、オレ以外の男と出かけることや、合コンもダメ。第一許さない。隠れて行っても嘘のつけないノリの事だからすぐにバレて・・・お仕置きだから。以上です。何か他に聞いておきたい事とかありますか?」

まるで業務連絡みたい。

いいえ、患者さんに説明するように。

でも、私はゆう君の部下でも、患者さんでも無い。

「そうそう、今日から、ノリはオレの彼女だから。これは結婚を前提とした付き合いだから、婚約者の方がしっくりくるなあ。・・・わかりましたね。」

「・・・わかりません。」

私には珍しく、ゆう君に反抗的な態度を取る。

身体も頭もだんだん冷えていくのがわかった。

ゆう君は大きな溜め息を、わざとらしくついた。

そう、私に見せ付けるように、わざとらしく・・・。

「・・・聞き分けの無い患者さんは入院して閉じ込めておくしかないですよ。」

ゆう君の顔からニッコリは消え、厳しい視線を送られる。


「どうして、急に好きとか、そんな嘘を言うの?」


告白の時とは違う呼吸のし辛さに、心と一緒に苦しさを感じる。




「じゃあ、どうすればノリはオレのいう事を信じるの?」




見た事も無いような真摯な眼差しが私を射る。

ゆう君は時々、意地悪な事を私に言うけど、基本は真面目で誤魔化さない人。

いつも以上に真剣なんだとわかる。



「ゆう君の事は信じてるよ。私がゆう君の言葉を信じていない訳がない。・・・でも、これは・・・無理だよ。だって、そうじゃないとずーと思ってきたんだよ。ずーとだよ!急にそんな・・・ゆう君が私の事・・・好きなんて思えないよ。」



物心つく前から、刷り込みのように刻まれたこの気持ち。

それを大切に持っていた。

こんなに大人になるまで。

ゆう君に嫌われ無いように、妹のヴェールをしっかり被って。

何十にも包まれたガードは簡単には外れない。




「もう、いいんだよ。自分の気持ちをノリ自身で開放してあげるんだ。押さえ込む事はもうしなくていい・・・。もう、いいんじゃないか?自分の気持ちを自由にしてあげて。」




自由?

自由にしていいの?

ゆう君は迷惑じゃない?

ママたちは困らない?



教えて。

ゆう君、教えて・・・。




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