白衣の王子様の恋愛感 【番外編12月7日up】
カフェを出た後、ゆう君は私に右手を差し出した。

その手に自分の左手を重ねると、あの指輪ごとゆう君の手に包まれた。



家までのいつもの道。

いつもの会社の帰りとは違う。

今まで味わったことの無いスッキリとして、それでいてフワフワとして、なんだか温かい道のり。

夜の暗さだって、本当はいつもと同じなのに、柔らかく感じる。



ゆう君は私を家に送ってくれただけでなく、ママと会社から帰宅していたパパに、結婚を前提に付き合う報告をしてくれた。

それが嬉しくて、くすぐったくて・・・。




「結婚を前提って、いつまで付き合う気?あなたたち、もう十分に付き合ったじゃない。結婚を待つ理由ってあるの?」


そうママに言われてしまって、返す言葉も無いけど・・・。

付き合う云々は、もうわかったとばかりに、ママはまくし立てた。

「え?そりゃあ、なんていうか、まあ~ね、ゆう君・・・。」

だって、結婚前は、みんなお付き合いからでしょ?

でも、ママの勢いにしどろもどろになる私は、ゆう君に話を振った。

ゆう君は、昔からママを宥めるのが上手いから、お任せする。

顎に手を添えて、真剣な表情を浮かべるゆう君。

一生懸命にママの対策を考えているゆう君も素敵だ!


「・・・そうですね。確かに、待つ必要はないですね。僕もこんな歳ですし、去年、アメリカから帰って来たばかりなので、しばらく転勤も無いと思いますし・・・ノリさえ良ければ、僕はいつでもいいです。」


そう言って、ママとパパと私に順々にニッコリと微笑みかける。

えー!なんで?

決定権は私なの?

「え?私だっていつでも・・・。」

そりゃそうだ。

ゆう君より好きな気持ちが大きい私。

ゆう君がいいなら、反対する理由は無い。



まあ、結婚と言っても、いろいろ準備があるんでしょ?

だから、すぐじゃないだろうし。

だったらいいかな~。




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