白衣の王子様の恋愛感 【番外編12月7日up】
「あ!結婚おめでとう!」

「ありがとうございます。来月のお式では友人代表スピーチをお願いしているって聞きました。よろしくお願いします。」

テーブルを挟んで頭を下げた。

「はい、任せておいて。でも、俺でいいのかな?新郎の女性遍歴もいろいろ知っているからなあ・・・。俺、ぺろっと言っちゃいそうだよ。」


・・・そういう話題って普通は、新婦に禁句じゃないですか?

でも、昔から知ってる者同士だからか、私に対して気が緩んじゃっているのかな。

優しくていい人なんだけど、口が軽いというか、なんも考えていないというか、とにかく良い意味でも悪い意味でも、気を使わない人。


「ああ、私も知ってますからお気遣い無く。・・・初めてゆう君の彼女を見たのは、私が小学生の時だったんですよ。しかも、私の学校に来ていた教育実習生・・・。すっごくショックでした。」


調子に乗って私も暴露。


「あ~、相手の検討がつくわ~・・・。幼気な子を傷つけて、酷い男だ!」


「そういえば、去年の9月頃に付き合っていた人もバッタリ会ってますから、それもスピーチに入れてもらってかまいませんよ。・・・私たちの行動範囲ってそんなにせまいですかね?そんな偶然いらないですよね。」


私の実家も、ゆう君の大学・住んでいる所・就職後の病院も最寄の駅はすべて同じだ。

唯一違う私の会社くらい。

それだって、そう遠くない。


「運命の神様は、イタズラだね。でも、そんなに小さい頃から阿川を好きだったんだよなあ。筋金入りだね。」


感心するように頷きながら八島さんはゆっくりとコーヒーを飲んだ。


「・・・自分でも、呆れるくらい、ゆう君一色の人生でした。かわらずに、これからもそうですけど。」


自分の一途さは嫌いじゃないけど、少し呆れる。






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